不可解と言えばこれほど不可解な話もあるまい。本業とは縁遠い小さなベンチャー企業を08年3月期に3社まとめて700億円近くで買って子会社化し、翌年にはほぼその全額をこっそり減損処理している。
オリンパスが買収したのは、医療関連の産業廃棄物処理を手がけるアルティス(東京都港区)、電子レンジ用容器を企画・販売するNEWS CHEF(同)、化粧品や健康食品を通信販売するヒューマラボ(同)の3社(9ページの図参照)で、いずれも非上場企業である。
これだけ高額な買い物にもかかわらず、なぜかオリンパスの有価証券報告書にはこれらの社名はほとんど記載されておらず、業績動向も一切公表されていない。オリンパスがひた隠しに隠す“恥部”なのだ。
本誌が調べたところでは、オリンパスと関係の深い経営コンサルタント会社が05年ごろに休眠会社を業態転換させて活動を再開させたり、新規に立ち上げたりして、08年にオリンパスに売却したもの。業績や資産、履歴などいずれも見どころのない零細企業3社の買収に、なぜそれぞれ200億円以上も出したのか。
3社の買収時の売上高はいずれも2億円に満たなかった。3社の発行済み株式数や類似業種のPER(株価収益率)、買収金額などから逆算すると、買収から4~5年後には売上規模が数十倍から百数十倍に急成長することを前提として、巨額の買収価格を決めたことになる。素人目にも極めて不自然な利益計画であり、まともな投資とは言えまい。
これら3社は買収後どうなったか。決算公告などによれば、3社とも赤字続きでとうに債務超過に陥っている。オリンパスから実行された融資も焦げ付き、それだけでも数十億円規模に達している。オリンパスの事業分野の中で3社が属すのは「その他事業部門」。ここ数年の営業赤字垂れ流しのほとんどはこれら3社によるものだ。取締役会での買収判断がいかに杜撰だったかが窺える。
しかもその損失処理の詳細についても、オリンパスは口をつぐむ。本誌の質問状には「必要な情報開示はしている」と答えたが、笑わせちゃいけない。この3社については一切情報開示しておらず、株主の多くはこうした事実を知らない。3社の株式を買い増して子会社化するにあたり、どこの誰から株を買い取ったのかも含めて、意思決定の場で吟味した痕跡はないのである。
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